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ecoなパッケージを紹介する【ecoパケ】コラム 020  「売った後」まで設計できない商品は、市場に残れない

パッケージSDGs

―EUエコデザイン規則(ESPR)が迫るものづくりの大転換―

ものづくりの「ゴールライン」が動いた

長年、製造業における設計・開発のゴールは明白でした。仕様書を満たし、歩留まりを最大化し、検査基準をクリアして出荷する。そして店頭や顧客のもとで「購入された瞬間」に、開発プロジェクトはひとまずの結実を迎えます。購入後の故障は保証期間内のアフターサービスや品質管理の範疇であり、製品がその寿命を終えた後にどう処理されるかまでを、設計開発の主たる要件として真剣に組み込んできた現場は決して多くありませんでした。

しかし、その前提は崩壊しつつあります。いま世界で起きているのは、ものづくりの「ゴールライン」の先延ばしです。

製品が消費者の手に渡り、使われ、壊れ、修理され、役目を終えて回収され、分解され、再び原料へと戻っていく——この全行程をあらかじめ図面の上に落とし込めていない製品は、市場への参入そのものを拒絶される時代が到来しました。

その地殻変動の中心にあるのが、EUが施行した「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR: Ecodesign for Sustainable Products Regulation)」です。

「環境に配慮した設計」という言葉は、もはや免罪符のようなCSR活動でも、マーケティング用の耳触りの良いキャッチコピーでもありません。売った後の物理的な道筋を論理的に描けない企業から順に、サプライチェーンの表舞台から退場を余儀なくされる。これは環境問題であると同時に、極めて過酷な「市場生存条件」の書き換えです。

EUエコデザイン規則(ESPR)がもたらす地殻変動

単なる「省エネ」から「資源循環」への主戦場シフト

単なる「省エネ」から「資源循環」への主戦場シフト

これまで欧州で運用されてきた旧エコデザイン指令(2009/125/EC)の主目的は、主としてエネルギー関連製品(energy-related products)の使用時におけるエネルギー効率向上(省エネ性能)にありました。エアコンや冷蔵庫の消費電力をいかに抑えるか、待機電力をいかに削減するかという、性能数値の競争です。日本企業はこの領域で圧倒的な強みを発揮し、高いエネルギー効率を誇る製品で世界市場をリードしてきました。

しかし、ESPRはこの枠組みを根本から拡張しました。エネルギー消費効率の追求は「満たすべき基礎要件のひとつ」に過ぎなくなり、新たに評価の主軸へ引き上げられたのは「資源の循環性」そのものです。

ESPR本則(第5条など)は、製品群ごとの「委任法(Delegated Acts)」を通じて、設計段階で評価・義務化され得るパラメータとして以下のような側面を明示しています。

  • 耐久性(durability)と信頼性(reliability): 早期の機能停止や計画的陳腐化を排除し、物理的に長期使用に耐えうる設計であること。
  • 再使用性・改修性(reusability / upgradability): 容易にオーバーホールや機能アップデートができる構造であること。
  • 修理可能性(repairability): 一般的な工具で容易にアクセス・分解でき、消耗部品が交換可能であること。
  • 懸念物質(substances of concern)の含有制限・追跡: 再資源化を阻害する化学物質の把握と極小化。
  • エネルギー・資源効率: 製造および使用時の投入資源を最小化すること。
  • 再生材(リサイクル材)の含有率(recycled content): バージン材に依存せず、製品特性に応じて再生材の活用を求める基準が設定され得ること。
  • 再資源化可能性(recyclability): 単一素材化や容易な分別設計により、高純度で素材に戻せること。
  • カーボンフットプリント・環境フットプリントの算定・情報開示。

重要なのは、これらが全製品に一律に明日から義務付けられるのではなく、「今後採択される製品群ごとの委任法を通じて、順次具体的な要求事項として課されていく」という点です。従来の環境対応が「使用時に電気を食わないこと」を競っていたのに対し、ESPRは「製品の誕生から素材還流に至るライフサイクル全体で、いかに資源を浪費しないか」を競わせるルール形成を進めています。

対象範囲の拡大と「売れ残り廃棄禁止」の射程

ESPRのもうひとつの大きな特徴は、その網羅性にあります。旧指令が主にエネルギー関連製品に対象を絞っていたのに対し、ESPRは原則として「EU域内に上市または供用されるすべての物理的製品」を対象範囲としています(第1条)。

ただし、食品・飼料・医薬品、生きた動植物・微生物、人体由来物、あるいは別途セクター別法令で要件が定められる自動車(一部側面)や国防・国家安全保障専用品などは適用除外とされています。それ以外のほぼすべての工業製品が、潜在的な規制の射程に入っています。

欧州委員会が進める作業計画(Working Plan)においては、まず影響の大きい優先品目として、鉄鋼、アルミニウム、繊維(衣料品・履物)、家具、タイヤ、マットレス、ならびに特定のエネルギー関連製品などが挙げられており、これらから優先的に個別の委任法の策定が進められます(※スマートフォンやタブレット端末等のICT機器は、先行するエコデザイン規則(EU) 2023/1670等の枠組みで既に部品供給や修理性要件への対応が進んでいます)。

さらに、多くのメーカーに衝撃を与えたのが「売れ残った消費財の廃棄禁止措置」(第23条〜第26条、付則VII)です。

この廃棄禁止措置は、まず衣料品・服飾アクセサリーおよび履物を対象として、2026年7月19日から大企業に適用されます(中堅企業には2030年7月19日から適用、小規模・マイクロ企業は免除。また健康・安全上の理由など10項目の例外規定あり)。現時点で電子機器等は付則VIIの直接の禁止対象に含まれていませんが、今後の委任法によって対象品目が追加され得る枠組みとなっています。需要予測を見誤って過剰生産し、ブランド維持のために新品を焼却処分するという旧来のリニア型ビジネス慣行は、法的に厳しく制限され始めています。

デジタル製品パスポート(DPP)が暴く設計のブラックボックス

ESPRの実効性を担保する最大の武器が、「デジタル製品パスポート(DPP: Digital Product Passport)」の導入です。

DPPとは、製品個体に付与されたデータキャリア(二次元コードやバーコード等)を通じ、サプライチェーン、修理業者、リサイクル業者、そして消費者が製品のライフサイクルデータにアクセスできるデジタル基盤です。

本則に明記されている主な開示対象情報には、以下のような項目があります。

  • 懸念物質の情報(物質名、CAS番号、含有箇所の特定など)
  • 分解マニュアルや修理に必要な情報、安全上の注意事項
  • カーボンフットプリントなどの環境特性データ
  • その他、製品群ごとの委任法で個別に義務付けられるライフサイクル情報

これまで、製品が工場を出た後の詳細な素材構成や内部構造はメーカー内部のブラックボックス、あるいは企業秘密のベールに包まれていました。DPPの導入により、この情報の透明化が急速に進みます。

ただし、DPPは無制限にあらゆる社内機密を公衆へ晒すものではありません。規則上、企業秘密や知財の保護を損なわないよう、ユーザー、独立修理業者、リサイクル事業者、市場監視当局といった「アクセス権限に応じた段階的なデータ開示管理」が規定されています。その管理された枠組みのなかで、「修理に必要な情報が開示されているか」「素材分別が可能な構造か」といった設計の循環性が客観的に評価されることになります。

「売った後」を設計する——サーキュラーデザインの思考法

「売った後まで設計する」とは、具体的に日々の設計実務をどう変えることなのでしょうか。従来の設計思想(Design for Manufacturing: 製造容易性設計)から、循環型設計(Design for Circularity)への転換には、明確な構造改革が必要です。

【従来の設計思想(リニア型)】
採掘 → 部品加工 → 組立・接着 → 出荷 → [購入] → 使用 → 廃棄(埋立・焼却)
(設計者の関心はここまで)

【これからの設計思想(サーキュラー型:ESPR前提)】
再生材調達 → 分解容易な設計 → 出荷 → [購入] → 使用・保守・修理
 ↕
部品の再利用
アップデート
─ 高純度素材のリサイクル ─ 容易な分解 ─

思考1:接着・不可逆構造から「分解設計(Design for Disassembly)」へ

過去数十年にわたり、工業デザインの進化は「不可逆な一体化」の歴史でした。接着剤による強力な接合、超音波溶着、外れないスナップフィットの爪は、製品の薄型化、軽量化、防水・防塵性の向上、そして組立工数の削減(=製造原価の低減)に大きく貢献してきました。スマートフォンや小型家電の高密度実装は、その代表例です。

しかし、サーキュラーデザインにおいては、この不可逆性が致命的なボトルネックになります。接着剤で強固に固められたバッテリーや基板は、修理時に破損や発火のリスクを伴い、リサイクル工程でも選別できず破砕・焼却せざるを得なくなります。

分解設計(DfD: Design for Disassembly)が求めるのは、以下の原則です。

  1. 結合の可逆性: 強固な不可逆接着を極力排し、標準的なネジ止めや、特定の熱・電気刺激等で分離可能な可逆性締結技術を検討する。
  2. 工具の汎用性: 特殊な専用治具がなければ開けられない構造を避け、市販の工具で主要モジュールまでアクセス可能にする。
  3. 階層的アクセス性: 摩耗・劣化しやすい部品(バッテリー、ファン、パッキン等)ほど、外装を外して最初のステップで取り出せる内部レイアウトを採用する。

思考2:高機能化から「素材純度とモノマテリアル化」へ

高機能化を追求するあまり、金属インサート成形されたプラスチック部品や、多層フィルムの複合包装、難燃剤や添加剤が複雑にブレンドされた複合材料など、「機能は高いが分離・再資源化が極めて困難な部材」が数多く生み出されてきました。

リサイクルの現場において、異素材の混入は再生材の品質を著しく低下させます。たとえばABSとポリカーボネート(PC)が分別できずに混ざり合えば、強度が落ちて高付加価値な製品への再利用が困難になります。

求められるのは「引き算の設計」です。

  • モノマテリアル(単一素材)設計: 筐体だけでなく、付属部品や内部ブラケットに至るまで同一系統の樹脂で統一し、素材ごとに容易に再ペレット化できる構造を目指す。
  • 異素材分離の容易化: 異素材を複合して用いる場合、手作業や磁力・光学選別で瞬時に分離できる境界構造をあらかじめ設ける。
  • 再生材物性へのマージン設計: バージン材に比べて流動性や引張強度にロットごとのばらつきが生じやすい再生材(PCR樹脂等)を採用しても、成形不良を起こさず十分な強度を担保できる肉厚・リブ設計の工夫。

思考3:売り切りモデルから「機能寿命の最大化」へ

「壊れたら新品を買い替えてもらう」ことを前提とした設計思想は、サーキュラーエコノミーの潮流とは相容れません。

欧州では修理権の確立が進んでおり、修理指令(EU 2024/1799)が2024年7月に発効し、加盟国での適用(2026年7月31日)へ向けて法整備が進んでいます。製品群ごとの委任法においても、長期のスペアパーツ供給や修理情報の提供が要件化される動きが加速しています(先行するスマートフォン・タブレット向けエコデザイン規則では、最終上市後7年間の主要スペアパーツ供給が義務付けられています)。

ここで設計者に求められるのは、ハードウェアの「物理的骨格」と「機能的陳腐化」を切り離す設計です。

  • 状態監視と予防保全: 機器の劣化状態を検知し、適切なタイミングで部品交換を促すソフトウェア・センサー設計の統合。
  • モジュール単位のアップデート性: 通信規格の変更や処理能力の向上に対し、製品全体を廃棄するのではなく、主要基板やインターフェース部のみを交換して延命できるモジュール構造。

日本のものづくりが直面する「3つのジレンマ」

日本の製造業は、長年にわたり高品質・高信頼性を武器に世界を席巻してきました。しかし、ESPRが突きつける要件は、皮肉にも日本企業が培ってきた「美徳」と真っ向から衝突する構造を孕んでいます。

ジレンマ1:「壊れない完璧さ」と「直せる親切さ」の衝突

日本の開発現場には、「そもそも絶対に壊れないことこそが最高の品質である」という強いエンジニアリングの誇りがあります。公差を極限まで詰め、部品同士を精緻に噛み合わせ、徹底的な密閉構造によって防塵・防水・耐振動を実現する。このすり合わせ技術により、故障率の極めて低い製品が生み出されてきました。

しかし、欧州のサーキュラーエコノミーが求める設計基準は、「絶対に壊れないこと」に加えて「万が一壊れたときに誰でも直せること」を重視します。

現場の技術者からは、「下手に一般ユーザーが開ければ安全性が損なわれる」「密閉したほうが結果的に故障を防げる」という論理が自然と出てきます。しかし欧州のルール形成において、「メーカーしか開けられない完全密閉」「修理を阻む構造」は、ユーザーの選択肢を狭め、買い替えを促す要因になり得ると警戒されます。緻密なすり合わせによる高密度設計を保ちながら、いかに「安全で容易な分解性」を同居させるかという、高度な設計解が求められています。

ジレンマ2:バージン材至上主義と再生材の品質ブレ

日本の品質管理基準は非常に厳格です。外装部品のわずかな色ムラ、微小なウェルドライン、成形品のヒケは外観不良として厳しく扱われてきました。これを支えてきたのは、極めて物性の安定した高品質なバージン材料と、精密に制御された金型・成形技術です。

しかし、今後の委任法で再生材(リサイクル材)の含有率基準が設定されていけば、原材料のロットによる物性のブレや色調のわずかなばらつきへの直面は避けられません。「寸分の狂いもない均一性」を絶対視してきた品質基準のままで再生材導入を進めれば、歩留まり低下やコスト高騰を招きます。

材料技術部門とデザイン部門が連携し、「再生材特有のテクスチャーや風合い」を新たな価値や個性として定義し直すような、基準の柔軟性とデザイン戦略の転換が求められます。

ジレンマ3:サプライチェーンの「サイロ化」とデータ開示への恐怖

DPPの導入は、日本の製造業における情報管理の文化にも変革を迫ります。

日本のサプライチェーンの強みは、部品・素材メーカーが長年蓄積してきた独自の配合比率や熱処理条件、加工ノウハウといった「暗黙知」に支えられてきました。しかしDPPは、それらの情報をデジタル化し、標準化されたプロトコルで追跡可能にすることを求めます。

「ノウハウ流出のリスクはないのか」「下請けの中小企業までデータ連携の負荷に耐えられるのか」という懸念は現実の課題です。DPPのアクセス権限管理の仕組みを熟知し、コア技術のブラックボックスを守りつつ、規制が求める環境・安全情報をいかに効率的かつ透明に連携させるかという、データガバナンス戦略が不可欠になっています。

サーキュラーデザインを「競争優位」に変える戦略

では、日本企業はこのESPRの荒波をいかに乗り越え、自らの強みへと転換すべきでしょうか。受動的な「規制対応コスト」として捉えている限り、疲弊とシェア縮小は避けられません。必要なのは、このルール変更を製品アーキテクチャの進化と捉え、新たな競争優位を築く契機にすること=商品戦略の再構築です。

アプローチ1:高耐久・超長寿命設計の「サービス化(PaaS)」

日本企業が培ってきた「壊れにくさ」「長寿命」は、製品を売り切るビジネスモデルでは「買い替え需要の抑制」というジレンマを抱えていました。しかし、製品を販売せずサービスとして提供する「PaaS(Product as a Service: サービスとしての製品)」やサブスクリプションモデルにおいては、最大の利益創出源に変わります。

製品の所有権をメーカーが保持し、顧客からは稼働時間や性能提供に応じて対価を得るモデルでは、製品が壊れず長く稼働するほど、また部品交換やオーバーホールが迅速に完了するほど、ライフサイクル全体での収益率は向上します。

  • 10年、20年と耐えうる基本構造の堅牢性
  • 消耗部品をユニット単位で迅速に交換できるメンテナンス設計
  • 稼働ログを活用した予防保全とDPP基盤の連携

これらを統合することで、「売り切って終わりの競合」には真似できない、高付加価値な循環型ビジネスの構築が可能になります。

アプローチ2:「解体・再資源化容易性」を定量化した先行開発指標

設計部門のKPI(重要業績評価指標)に、サーキュラー性の視点を明示的に組み込む取り組みも始まっています。

従来の「製造原価」「重量」「開発リードタイム」「機能仕様」に加え、設計初期段階のゲート審査において循環性を評価する社内指標を設定する手法です。

設計評価項目旧来の指標(リニア型)の着眼点先進企業が導入を検討する社内指標(サーキュラー型)の例
分解時間製造ラインでの組立タクトタイムのみを評価一般工具を用いた主要部材・消耗品の分解所要時間を数値制約(例:3分以内など)
素材の集約度コストと強度のみでパーツごとに異種樹脂を選定主要外装・フレームの構成素材を少数系統に集約し、単一素材比率を高める
再生材比率バージン材100%を前提とした外観・強度設計物性のばらつきを許容する設計マージンを設け、PCR樹脂の採用比率目標を設定
情報追跡性図面とBOM(部品表)の社内管理で完結DPP等の標準規格に準拠した属性データ・分解マニュアルの自動出力連携

※右列は各社が独自に設定する社内KPIの例であり、EU規制そのものの数値規定ではありません。

CAD上での設計段階から分解性や素材還流のシミュレーションを織り込むことで、委任法が具体化された際にも迅速に適応できる先行開発体制を築くことができます。

アプローチ3:素材技術の再定義による「アップサイクル」主導権

日本が強みを持つ素材・化学分野の技術は、サーキュラーデザインを物理的に具現化する鍵を握っています。

  • 何度リサイクルを繰り返しても分子鎖の切断を防ぎ物性を維持する改質添加剤
  • 特定の波長の光や熱・通電などの刺激で接着力を失い、瞬時に剥離できるスマート接着技術
  • 単一素材でありながら延伸や積層の工夫により高いバリア性とシーリング性を両立するモノマテリアルフィルム

こうした高機能素材や革新的な接合・分離技術を製品設計とセットで提案できる力は、完成品メーカーにとって不可欠なパートナーとしての地位を確固たるものにします。とで、完成品のみならず、世界のサプライチェーン全体に対して不可欠なプレイヤーとしてのポジションを確立できます。

設計者の問い直し

産業革命以来、人類の製造業は「資源を採掘し、作り、使い、捨てる(Take-Make-Waste)」という一方通行のリニア経済モデルを前提にシステムを最適化してきました。しかし、地球規模での資源制約と地政学的リスクの高まりを背景に、その前提そのものが限界を迎えています。

ESPRが突きつけている本質は、単なる行政手続きやチェックボックスの消化ではありません。「自社が世に送り出すプロダクトは、地球という閉じた生態系・経済圏の中で、使用後にどのような経路をたどり、どのように次の資源へと回帰していくのか」という、設計思想そのものに対する構造的な問いです。

開発現場のエンジニアやプロダクトマネージャーは、日々の自問自答をアップデートする必要があります。

  • かつての問い: 「どうすれば、仕様を満たした製品を最も安く、最も早く組み立てて市場へ出荷できるか?」
  • これからの問い: 「この製品は役目を終えた後、誰の手で、どのように分解され、次の世代の何へと生まれ変わるのか? その還流の道筋を、私は図面の上に描き切れているか?」

売った後の道筋を見届けない設計は、遠からず市場からの退場を迫られるリスクを抱えます。逆に言えば、製品の役目を終えた後の姿までを見通し、鮮やかに循環の環の中へと回帰させられる設計力を持つ企業にとって、この産業ルールの書き換えは、世界市場での存在感を高める最大の好機となるはずです。

「売った後まで設計できない商品は、市場に残れなくなる」

この言葉は、脅迫でも悲観論でもありません。次世代の産業競争において、真に持続可能で価値あるプロダクトを生み出すための、新しいデザイン・エンジニアリングの出発点なのです。

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