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ecoなパッケージを紹介する【ecoパケ】コラム 015「環境配慮型の容器包装が描く化粧品業界の未来」 

パッケージSDGs

― LCA(ライフサイクルアセスメント)の視点から ―

化粧品という商品は、単なる「美」を提供するものではありません。自分自身を大切にする時間や、社会とのつながりを感じる瞬間をもたらしてくれるものでもあります。そしてその「美」を包み込む容器やパッケージは、ブランドの世界観を語り、消費者の手元に届くまでの旅を支える重要な存在です。

しかし近年、その容器やパッケージが持つ「環境への影響」が問われるようになっています。プラスチックごみの海洋汚染、温室効果ガスによる気候変動、資源の枯渇――。これらの問題は、化粧品業界も例外ではありません。むしろ「美」を届ける産業だからこそ、環境への責任を強く求められる時代になっているのです。

では、化粧品の容器や包装はどのように変わり、企業と消費者がどのように協力すれば持続可能な未来が築かれるのでしょうか。そのヒントとなるのが LCA(ライフサイクルアセスメント) の視点です。

1.LCAが照らす、容器と環境負荷の「全体像」

従来、環境配慮の議論は「リサイクルできるか」「軽量化できるか」といった一部の側面に集中しがちでした。しかし、LCAの考え方を取り入れると、製品のライフサイクル全体を俯瞰することができます。

原材料の採掘から製造、流通、使用、そして廃棄・リサイクルに至るまで、あらゆる段階で環境負荷が発生します。たとえば、石油由来のプラスチック容器は、原材料の調達時から多くのCO₂を排出します。逆に、バイオマス由来のプラスチックであれば再生可能資源を利用できる一方、農業用地や水使用の負荷が増える可能性もあります。

つまり「どの素材が正解か」ではなく、「どの段階で負荷が大きく、全体としてどのように最適化するか」が重要なのです。LCAは、その全体像を科学的に明らかにし、次のアクションへと導いてくれます。

2.化粧品の容器・パッケージの変革はすでに始まっている

世界の化粧品業界では、すでに数々の挑戦が始まっています。

再生PETやバイオPEの採用
ボトルやキャップにリサイクル素材やバイオマス素材を導入し、石油資源への依存を減らす。

モノマテリアル化
従来は複数素材が組み合わされていたチューブやパウチを、単一素材にすることでリサイクル性を向上。

紙や生分解性素材の応用
サンプルパウチや外装箱を紙製に切り替え、廃棄後の環境負荷を軽減。

詰め替え・リフィル容器
外装を繰り返し使えるようにし、中身だけを交換可能に。高級感を維持しつつ廃棄物を削減。

こうした動きは単なる環境対策にとどまりません。企業にとっては ブランド価値を高める新しい挑戦 であり、消費者にとっては 購買を通じて社会に貢献できる実感 をもたらします。

3.消費者の意識が業界を動かす

近年の消費者は、単に「美しい容器」だけを求めてはいません。そこに「環境に優しい選択」であることが加わることで、ブランドへの信頼や共感が深まります。

たとえば、容器に「このボトルは再生PETを70%使用」「このパウチを使うことでCO₂を○%削減」と明記されていれば、消費者は自分の選択が環境貢献につながると実感できます。これは単なる数字の提示ではなく、 「選ぶことで未来を変える」参加体験 なのです。

また、SNSの普及により、消費者は自分の選択をシェアしやすくなっています。「環境に配慮した商品を選んでいる」という行動そのものが社会的な共感を呼び、結果的にブランドの支持層を広げていくのです。

4.企業と消費者が共に描く未来像

もしも化粧品業界全体がLCAの視点を取り入れ、環境配慮型パッケージを当たり前にしたとしたら――。

企業は、デザイン性と環境性の両立を追求しながら、技術革新を進めていくでしょう。パッケージは単なる容器ではなく、「環境負荷を減らすための仕組み」 としての役割を担うようになります。

消費者は、環境配慮を「特別な選択」ではなく「日常の選択」として自然に取り入れるようになります。買い物のたびに「少しでも地球に優しいものを選ぶ」ことが習慣化すれば、それは市場全体を変える大きな力になります。

その先には、こうした世界が広がります。

・化粧品売り場に並ぶ容器の大半がリサイクル材やバイオ素材で作られている。

・使用済み容器の回収と再資源化が街中で当たり前に行われている。

・「美しさ」と「環境配慮」が矛盾せず、むしろ相乗効果を生む文化が育っている。

これは決して夢物語ではありません。すでに世界中でその萌芽が見え始めています。

5.経営者へのメッセージ

環境配慮型パッケージへのシフトは「コスト」や「負担」ではなく、次世代の市場競争力 を築くための投資です。規制対応のためにやむを得ず取り組むのではなく、むしろ積極的に活用することでブランドの独自性を確立できます。

さらに、LCAの導入は「見える化」を進め、企業内外のステークホルダーに対して透明性を高めます。取引先、株主、そして消費者に対し「この企業は未来を見据えている」と強く印象づけることができます。

未来の化粧品業界において勝ち残るのは、環境配慮を自らのブランドストーリーとして昇華させた企業 です。そして、そのストーリーは消費者の共感によってさらに広がり、業界全体の文化を変えていくでしょう。

6.結び

「美しさ」と「環境配慮」。一見すると相反するこの二つは、実は同じ未来を目指すことができます。環境に優しい容器や包装は、消費者に安心と共感をもたらし、企業に持続可能な成長をもたらします。

LCAの視点を取り入れ、ライフサイクル全体で環境負荷を減らす努力を続けること。消費者がその取り組みを理解し、日々の選択で応援すること。両者が手を取り合うことで、化粧品業界は「美と環境が調和する世界」を切り拓いていくのです。

その未来は遠い話ではありません。いま、ここから始まっているのです。

NAGANAE PACKAGE|長苗印刷株式会社 パッケージ事業部 https://ecodakemarke.naganae.co.jp/packagesample/

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