エコだけコラム

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ecoだけマーケターのエコだけ豆知識 015 素材変更では循環は成立しない

パッケージSDGs

― 容器・包装をDfE/DfD/DfRで再設計する実装論

こんにちは。
「エコロジーとエコノミーをビジネス化する」を目標に活動している”ecoだけマーケター“たちが、最近気になる環境やDXにまつわる話題を短く紹介するエコなブログです。「○○したいけど、○○できない」とお悩みの、何かとお疲れ様の皆様に向けて、小さな取り組みなどを紹介します。コーヒーブレイクや休憩の合間にお読みください。

なぜ今、容器・包装で「設計」が問われるのか

環境配慮素材の採用は、もはや特別な取り組みではなくなりました。バイオマス樹脂やPCR材、FSC認証紙など、環境に配慮した選択肢は確実に増えています。企業としても「何を使っているか」は説明しやすく、取り組みとして見えやすい領域です。

しかし実務の現場では、素材を変更したにもかかわらず、回収・選別・再生の工程で“詰まる”ケースが数多く発生しています。つまり、「環境に良い素材を使ったはずなのに、結果として循環していない」という状況です。

このギャップが生まれる理由は明確です。
循環は素材ではなく、設計によって決まるからです。

容器・包装は、単に製品を包むものではありません。調達、製造、輸送、販売、使用、廃棄、回収、再生といった一連の流れの中で機能する「システムの一部」です。そのため、どこか一工程でも整合が取れていなければ、循環は途中で止まってしまいます。

例えば、リサイクルしやすい素材を使っていても、ラベルが剥がれなければ異物として扱われますし、黒色や蒸着加工が施されていれば選別工程で認識されません。このように、設計の細部がそのまま循環の成否に直結します。

そこで重要になるのが、DfE(環境適合設計)、DfD(分解容易設計)、DfR(リサイクル設計)という三つの設計視点です。これらは単なる概念ではなく、容器・包装を“実際に循環させる”ための実務的な設計フレームです。

Design for Environment(DfE:環境適合設計)

    DfEとは、製品や容器・包装を「環境負荷が小さい形で成立させる」ための総合設計思想です。ここで重要なのは、素材変更にとどまらず、ライフサイクル全体を見て最適化する点にあります。

    まず最初に考えるべきは、「そもそも減らせないか」という視点です。これは非常に基本的ですが、最も効果が大きい取り組みでもあります。容器を軽量化すれば、それだけで材料使用量が減り、輸送時のCO2も削減されます。外装を簡素化すれば、廃棄物そのものが減ります。

    例えば、ガラス容器を薄肉化する、箱のサイズを見直して輸送効率を上げる、ブリスターパックを廃止してシュリンクフィルムに置き換える、といった施策は、比較的短期間で実現でき、かつ環境負荷削減効果も大きい領域です。

    次に重要なのが、材料の選定です。PCR材やバイオ由来素材の活用、認証材の採用などはここに含まれます。ただし、これらはあくまで“設計の一部”であり、全体最適の中で位置づける必要があります。例えば、再生材を使っても重量が増えれば、輸送負荷が増える可能性もあります。

    さらに、製造工程にも目を向ける必要があります。成形条件の最適化や工程数の削減、歩留まり改善は、エネルギー消費と廃棄物削減の両方に影響します。

    そして見落とされがちなのが、使用段階です。内容物が最後まで使い切れない容器は、実質的に廃棄ロスを生みます。吐出性の設計やリフィル構造は、環境負荷低減に直結する重要な要素です。

    このようにDfEは、「どの工程で、どの負荷が発生しているか」を分解し、全体として最適化する設計アプローチです。

    Design for Disassembly(DfD:分解を容易にする設計)

      DfDは、分解や分別を容易にするための設計です。ここで重要なのは、分解を「構造の問題」としてではなく、「人の行動」として捉えることです。

      どれほど優れた設計であっても、実際に分別されなければ意味がありません。消費者が直感的に分解できるか、短時間で処理できるか、迷わず行動できるかが重要になります。

      例えば、ポンプ容器は典型的な課題です。ポンプ部分には複数の素材が使われており、そのままではリサイクルに適しません。この場合、単一素材化を目指すのが理想ですが、現実的には難しいため、「簡単に外せる構造」にすることが重要になります。

      また、ラベルやスリーブも同様です。強粘着で剥がれないラベルは、リサイクル工程で異物となります。そのため、剥離タブを設けたり、水で剥がれる糊を使ったりすることで、分別を促進する設計が求められます。

      さらに、部材点数を減らすことも重要です。キャップ、内栓、パッキンといった部材が増えるほど、分解は複雑になります。可能であれば一体化や同一素材化を検討することで、分解の負担を減らすことができます。

      DfDの本質は、「分解しやすくすること」ではなく、「分解されることを前提に設計すること」にあります。

      Design for Recycling(DfR:リサイクルのための設計)

        DfRは、実際の回収・選別・再生工程に適合する設計です。ここで強調すべきは、「リサイクル可能」と「実際にリサイクルされる」は別であるという点です。

        リサイクルが成立するためには、三つの条件を満たす必要があります。すなわち、「回収される」「選別される」「再生できる」という三段階です。

        まず回収段階では、分別しやすい表示や、回収スキームへの適合が重要になります。次に選別段階では、材質が正しく認識される必要があります。例えば、黒色や蒸着加工は、光学選別装置で正しく判別されない場合があります。

        さらに再生段階では、洗浄や粉砕の工程で品質が保たれることが求められます。ラベルの糊が残る、インキがにじむ、コーティングが剥がれて混入する、といった要因は再生品質を大きく低下させます。

        そのため、単一素材に近づけること、阻害要因を取り除くこと、洗浄適性を確保することが重要になります。また、内容物が残りにくい設計も、再生品質に影響します。

        さらに重要なのは、再生材の用途を見据えることです。例えば透明ボトルへの再利用を想定する場合、着色や汚染は致命的な問題になります。どの用途に再生されるのかを前提に設計する必要があります。

        DfRは理想論ではなく、「現場で実際に処理できるか」を問う、極めて実務的な設計です。

        三つの設計視点の関係と実務での進め方

          DfE、DfD、DfRはそれぞれ異なる役割を持ちながらも、相互に密接に関係しています。

          DfEは全体最適の視点であり、どの工程で負荷を減らすかを考えます。DfRはリサイクル工程への適合を担い、DfDはそのための分解性を補完します。

          実務では、まずDfEの視点で「減らす」ことから始めます。次にDfRでリサイクル工程に適合させ、最後にDfDで分解性を補完する、という順序が有効です。

          この順序を逆にすると、分解しやすいがそもそも非効率な設計や、リサイクルしやすいが重量が大きい設計になりがちです。優先順位を誤らないことが重要です。

          設計レビューで問うべき視点

            設計レビューでは、いくつかの基本的な問いを体系的に確認することが重要です。

            例えば、部材点数を削減できないか、輸送効率を改善できないか、ラベルは剥がれるか、単一素材に寄せられるか、黒色や蒸着は必要か、消費者が簡単に分別できるか、内容物を最後まで使い切れるか、回収スキームに適合しているか、といった視点です。

            これらは単なるチェック項目ではなく、「どこで循環が止まるか」を事前に見抜くための問いです。

            OEMとの協働設計

              環境配慮設計を実現するためには、OEMとの連携が不可欠です。その際に重要なのは、要求を曖昧にしないことです。

              材質や重量、PCR比率を明示した部材表、分解構造図、複数の代替案、例外申請などを求めることで、設計の質は大きく向上します。

              環境配慮は「提案されるもの」ではなく、「要求によって引き出されるもの」です。発注者側の設計要求が、そのまま最終的な環境性能を決定します。

              結論:設計が環境価値を決める

                DfEは全体最適、DfDは分解の設計、DfRは工程適合。この三つが揃って初めて、循環は成立します。

                容器・包装は単なる容れ物ではありません。
                循環経済を成立させるための設計装置です。

                素材の選択だけで満足するのではなく、設計そのものを見直すことが、これからの競争力を左右します。

                すぐ使える「設計レビュー質問」10個

                パッケージ設計のレビュー会で、そのまま使える質問です。

                • これ、部材点数を1つ減らせない?(DfE/DfD)
                • 1g減らすより輸送箱の空隙率を下げた方が効かない?(DfE)
                • ラベルは剥がれる?糊は洗浄で落ちる?(DfD/DfR)
                • 単一材に寄せるなら、どの部材が最大の障害?(DfR)
                • 黒・蒸着・メタリック・強コートは本当に必要?(DfR)
                • 消費者は“何秒で”分別できる?工具いる?(DfD)
                • 中身が残りやすい粘度なら、最後まで出る構造?(DfE/DfR)
                • 回収スキーム(店頭回収/自治体/業界回収)に乗る前提?(DfR)
                • PCRを入れるなら、強度・外観・臭い・色の許容範囲は定義した?(DfE/DfR)
                • 「この設計がリサイクル工程で弾かれる理由」を想像できる?(DfR)

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