ecoだけ ブース
― サステナブル市場における「容器・包装」変革の本質
こんにちは。
「エコロジーとエコノミーをビジネス化する」を目標に活動している”ecoだけマーケター“たちが、最近気になる環境やDXにまつわる話題を短く紹介するエコなブログです。「○○したいけど、○○できない」とお悩みの、何かとお疲れ様の皆様に向けて、小さな取り組みなどを紹介します。コーヒーブレイクや休憩の合間にお読みください。

近年、サステナブルという言葉は企業活動において当たり前の前提となりました。
環境配慮、脱炭素、循環型社会――。
こうしたキーワードを掲げていない企業を探すほうが難しいほどです。
しかし市場の評価軸は、すでに次の段階へと進んでいます。
「環境に配慮しています」という宣言そのものは、もはや差別化要因ではありません。
投資家、取引先、そして消費者が見ているのは、
・その取り組みが実際に機能しているのか
・説明責任を果たせる状態にあるのか
という点です。
特にESG投資の拡大により、環境対応は「姿勢」ではなく「構造」として評価されるようになりました。
数値化できるか、再現性があるか、サプライチェーン全体で整合性が取れているか。
これらが揃って初めて、企業の環境価値は信頼に変わります。
その中で、ある領域が急速に注目を集めています。
それが製品の容器・パッケージです。
なぜ今、容器やパッケージなのか。
理由は極めてシンプルです。
第一に、消費者が最も直接触れるESG要素だからです。
製造工程や原材料調達は見えなくても、容器やパッケージは必ず目に入り、手に取られます。
第二に、環境負荷が可視化されやすいからです。
プラスチック使用量、複合素材、過剰包装――。
問題点が直感的に理解されやすい分、評価も厳しくなります。
第三に、改善余地が大きいという現実があります。
技術的にも、設計的にも、まだ最適解が出切っていない。
だからこそ、企業姿勢が最も表れやすい領域でもあるのです。
つまり容器・パッケージは、
企業の環境思想を最も端的に映し出す「鏡」だと言えます。
多くの企業が現在、次のような取り組みを進めています。
・バイオマスプラスチックの採用
・紙素材への切り替え
・単一素材(モノマテリアル)化
これらは重要な一歩です。
しかしESGの観点から見ると、それだけでは評価は完結しません。
なぜなら市場が問うているのは、
「それは環境に良さそうか」ではなく
「本当に循環しているのか」だからです。
たとえば、リサイクル可能な素材であっても、実際の回収インフラに乗らなければ意味がありません。
紙素材であっても、耐水加工や複合加工によって再資源化が難しければ、
結果として焼却されるケースも少なくありません。
評価されるのは「素材の名前」ではなく、設計思想と運用実態なのです。
容器・パッケージの環境価値を考えるとき、製品単体だけを見ていては本質を見誤ります。
容器・パッケージは、原材料調達から成形、印刷、物流、販売、使用、回収、再資源化まで、非常に長いサプライチェーンの上に成り立っています。
この中で一箇所でも分断が起きると、環境価値は簡単に失われます。
たとえば――
・素材は環境配慮型だが、製造工程で高負荷がかかっている
・リサイクル設計だが、消費者に分別方法が伝わっていない
・回収スキームが整っていない地域で販売されている
これらはすべて、ESGリスクが容器・パッケージに内在している状態です。
ESG担当として重要なのは、個別最適ではなく全体最適の視点で容器・パッケージを捉えることです。
どこで環境価値が生まれ、どこで失われているのか。
それを可視化できるかどうかが、評価の分かれ目になります。
次のフェーズで重要になるのは、環境価値を説明できるパッケージです。
消費者も投資家も、もはや「環境に良いらしい」という曖昧な説明には納得しません。
・なぜこの素材を選んだのか
・なぜこの形状なのか
・どのように廃棄・回収されるのか
これらを、デザイン・表記・デジタル情報と連動させて伝える必要があります。
容器・パッケージは単なる「包むもの」ではなく、企業のESGを翻訳するメディアへと進化していくのです。
環境価値を隠すのではなく、あえて見せ、語り、説明する。
この姿勢こそが、サステナブル市場における信頼を生みます。
最後に、ESG視点での容器・パッケージ変革において、企業が押さえるべき条件を整理します。
第一に、
コストではなく投資として捉えること。
短期的なコスト増ではなく、中長期のブランド価値・企業価値への投資です。
第二に、
サプライチェーンを共創の対象とすること。
素材メーカー、各製造会社、回収事業者を含めた連携が不可欠です。
第三に、
語れる設計にすること。
説明できない環境配慮は、評価されません。
環境価値とは、単なる「優しさ」ではありません。
それは、企業が社会とどう関わり続けるかという経営そのものです。
そしてその最前線に立つのが、製品の容器・パッケージなのです。
(次回「ecoだけマーケターのエコだけ豆知識 014 環境価値は、なぜパッケージで問われるのか 後編」では、制約の多い化粧品業界での容器・パッケージの現状と今後の展望について、を予定しております。お楽しみに!) ※諸事情により内容が変わる場合がございます。あらかじめご了承ください